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DEAR MOON

ojeblog.exblog.jp

ようこそ。ここは現在、滝城アキラの台本置き場となっております。

EGOIST -Destroy The Evildoer-

▽タイトル
エゴイスト  デストロイ ザ イーヴルドアー
EGOIST -Destroy The Evildoer-

▽比率
3:2:1 計6

▽ジャンル
オリジナル

▽キャラ
■Master
⇒マスター/男
Tシリーズを統括する、『マスター』と呼ばれる男。
自分こそ正義と考える、エゴイスト。

■T1-Dorf
⇒ドルフ/男
おおざっぱな性格だけど、やる時はやる。
女の子好きな、頼れる兄貴タイプ。一応、リーダー。

■T2-Sality
⇒サリティ/女
大人しいお姉さんタイプ。
たどたどしい話し方をする、恥ずかしがり屋さん。

■T3-Bagle
⇒バグル/男(不問)
言いたいことははっきりと言う、クールに毒を吐く少年。
嫌味に聞こえるような発言をするが、悪意はない。はず。

■T4-Zafi
⇒ザフィ/女
頭のネジがたくさん取れているような、はっちゃけ系元気っ娘。
明るく攻撃的。その破壊力は相当なもの。

■T5-Nyxem
⇒ニィゼム/男
影は薄いが実は美形のミステリアスなお兄さん。
思慮深いわりに、少しばかり天然気味。

▽備考
・バグルは少年なので男女問わず、不問です。

▽配役表
EGOIST -Destroy The Evildoer-

マスター:
ドルフ:
サリティ:
バグル:
ザフィ:
ニィゼム:



▽台本


マスター:1、2……3、4、5。
      T1(ティーワン)からT5(ティーファイブ)まで、
      全て揃っているか?


ドルフ:はい。マスター。
     こちら、T1-Dorf(ティーワン・ドルフ)です。

サリティ:T2-Sality(ティーツー・サリティ)、
      ここに……おります。

バグル:T3-Bagle(ティースリー・バグル)。
     ここにいるよ。

ザフィ:はいはーい!
     T4-Zafi(ティーフォー・ザフィ)ちゃん、いまーす!

ニィゼム:T5-Nyxem(ティーファイブ・ニィゼム)。
      ……ここに。


マスター:よし……。
      全て揃っているな。
      今夜、日付が変わる午前0時丁度に、
      攻撃開始の合図をかける。
      それまでは……おとなしくしていてくれ。


ドルフ:了解しました。
     各員、おとなしく待機────。

ザフィ:おとなしくなんて、つまんなーい!
     早く暴れたいよう! ようようよう!

サリティ:ざ……ザフィさん、落ち着いてください。
      マスターのご命令には、
      従わないと……です。

ザフィ:やだやだー!
     久々に表に出してもらえたんだよ?
     おとなーしく待つなんて、
     ザフィちゃんに合わないもん! 合わないもん!!

バグル:始まった。
     ザフィの駄々っ子癖はなかなか直らないもんだね。

ドルフ:……はぁ。
     いつもの事とは言え、
     毎度毎度こうだとなぁ。困ったもんだ。

ニィゼム:マスターもどうして、
      この様なじゃじゃ馬を飼い慣らしておられるのか。
      常日頃、疑問を浮かべる所存。

バグル:まぁ、ほら。
     性格に多少難ありでも、性能はお墨付きだから。

ニィゼム:確かに……。
      ここにいるTシリーズの中では、
      ドルフに次いで2番目に猛威を振るっていると、
      どこかのサイトの記事で読んだ事がある。

バグル:へぇ……詳しいね。

ニィゼム:しかし、年間ランキング1位である、
      ドルフとの差は大きいものだ。

ドルフ:ははっ、よせよ。
     たまたま俺の使い勝手がよかったんだろ?


マスター:(今夜はDorf《ドルフ》やZafi《ザフィ》といった、)
      (なかなか強力なモノを揃えた。)
      (ハッ……。これは心強い。)


ザフィ:そんなのどーでもいーのっ。
     んもう! 早く暴れたいッ!
     出撃まであとどれくらいかかるのー!?

サリティ:ええと……。
      出撃時刻まで、あと15分弱です……。
      基礎プログラム構築済み。
      マスターアレンジ考慮済み。
      各員、攻撃先指定済み。
      プログラム検査完了済み。
      全てオールグリーンのはずです……。

ザフィ:サリティ長いッ!

サリティ:ええっ。ああっ……すみません。

ザフィ:いーまーすーぐー
     やーりーたーいーのーにー!!

ドルフ:慌てるなよ、ザフィ。
     すぐに出撃できるさ。
     そしたら、好きなだけ暴れるといいさ。

ザフィ:ホント?
     好きなだけやっちゃっていいの?

バグル:いいんじゃない。
     それが僕たちのするべき事だし。

ニィゼム:派手に攻撃を仕掛けるといい。
      相手を深刻な状況にし、
      感傷に浸る間もなく、
      絶望へ突き落とす。
      それこそが我々の任務。
      いや、使命……か。

サリティ:生まれ持った使命ですから……ね。
      命令があれば勝手に体が動いてしまう……。

バグル:気に病むことじゃないよ。
     むしろ病む方がどうかしてる。

ドルフ:そうだぜ、サリティ。
     俺たちは遊びでやってるわけじゃないって、
     マスターも言ってたし。

ニィゼム:遊びではないが、
       正しいかどうか……ふむ。


マスター:(そうだ。これは遊びじゃあない。)
      (正しい者が、悪い者を裁く。)
      (たったそれだけの事だ。)
      (その為には、Tシリーズが必要不可欠……。)


バグル:そもそも僕たちが善悪を考えるなんて、
     おかしな話だよ。
     僕たちはただ、マスターに従えばいい。

ザフィ:そうそう!
     命令されたらあとはもう、やりたい放題!
     壊したり、操ったり、狂わせたり!
     宿主が泣いても、許してあげないんだから!

サリティ:いつも申し訳ないなと思っています……。
      それでも、私たちはそういう役目ですから……。

ドルフ:サリティはいざ攻撃開始の合図が出ると、
     凄い勢いで破壊しつくすのに、
     普段は遠慮しがちだなあ。
     ま、そこがまた、
     可憐な大和撫子の様に、
     かわいらしいんだけどなあ。へへっ。

サリティ:ド、ドルフさん……!
      そのようなお言葉、勿体無いですし、
      恥ずかしいです……。

ドルフ:そういうトコがいいんだよなぁ。
     ザフィも少しは見習ってみなー?

ザフィ:むーっ!
     そんなこと言ってるとドルフも粉々にするから!

ドルフ:おーっと、わりぃわりぃ。
     粉々は勘弁してくれい。

バグル:Tシリーズ同士の干渉か。
     ……有り得ない話だね。

ニィゼム:我々は宿主を攻撃するように指示されているからな。
      基本的に、我々同士が戦うことなどはないだろう。
      本来、こうして出撃前に話し合いしていることも、
      不思議なものだ。

ドルフ:でもまぁ、あれじゃん?
     ソロ出撃待ち中に、
     1人で武者震いしてるのも、寂しいもんだ。

バグル:今夜はこうして5人いるけど、
     結局は個人で行くんだよね。
     同じ宿主を2人以上で攻撃する事なんて滅多にない。

ドルフ:そうだけどさぁ。
     っていうか、2人以上で行くとさ、
     大体オーバーキルになるんだよな。

ニィゼム:その場合は、Tシリーズ同士の干渉と言っても、
      いいのかもしれないな。

バグル:干渉じゃなくて、
     侵食度の競り合いじゃない?

ニィゼム:確かに。
      そこでお互いの性能差が問われるという事か。

サリティ:今夜は皆さん、
      最終的にはバラバラの出撃ですから、
      大丈夫ですよ……。

ザフィ:ほんっと、今夜も楽しみっ♪
     マスターの出撃合図まだかなあ。まだかなあー。




マスター:午前0時、10分前だ。
      今夜も楽しい夜になりそうだ……。
      Tシリーズ、準備はいいか。


ザフィ:マスター!
     まあってましたーっ!
     ザフィちゃんはいつでもいけまーっす!

ドルフ:こ、こら、ザフィ……!
    オレも、いつでも出撃できます!

バグル:待ちくたびれたよ、マスター。
     早く始めよう?

サリティ:バ、バグルさんまでっ……。
      えっ、えっと……。
      私も、いつでも出撃可能……です。

ニィゼム:今夜は本当に賑やかなメンバーだ。
      マスター。指示をお願いします。


マスター:(手筈は整っている。完璧だ。)
      (これは正義の鉄槌。)
      (宿主共は、精々、畏怖と言うものを知るといい……)


ザフィ:マスター?
     マースーター?
     ……マスターったら!
     指示を、く・だ・さ・いっ!

ニィゼム:何か、考え事をしているのかもしれない。

サリティ:静かに待ちましょう……ザフィさん。

ザフィ:みゅー……。
     もうすぐ0時ジャストだよーう。

ドルフ:まーまー。気楽に待とうぜー?

バグル:ドルフはお気楽過ぎるよね。

ドルフ:へ? そうか?
     ドルフが固すぎるんじゃねーの?


マスター:……!
      あぁ、すまない。
      それじゃあ、始めようか。
      各員、指定攻撃先と攻撃方法のチェックはできているな?


ドルフ:もちろんです。
     心配いりませんよーっと。

サリティ:IPアドレス並びにURL、メールアドレス等、
      全員記憶済み……です。

バグル:今回はメールアドレスだけでも、
     最低限覚えていればいいかな。

サリティ:そう……ですね。
      でも、大事な指定攻撃先……です。

ニィゼム:私は今回も複数のメール添付ファイルとして出撃します。
      宿主に感染完了した後、
      アクセス可能な特定のファイルへ、
      「DATA Error [47 0F 94 93 F4 K5]」
      と、上書きして破壊。宿主の情報は、
      定期的に指定されたWebサイトへ送信致します。


マスター:Nyxem《ニィゼム》はいい仕事をする。
      今回も期待しているよ。


ニィゼム:有り難きお言葉、感謝致します。
      仰せのままに……。

ザフィ:んーと。ザフィちゃんも、偽造メールかな?
    世界各国に添付ファイルメールを送信しちゃってくださいっ。
    ファイアーウォールなんか、上書きしちゃうんだからー!
    タスクマネージャとか、
    レジストリ・エディタロックも任せてくーださーいなっ。

サリティ:ザフィさん、
      ポート番号は覚えてますか……?

ザフィ:ポート8181でしょ? バッチシ☆
     バックドアして、ファイルをアップロード!
     そしたら実行するー。

ドルフ:さすがのザフィってとこだな。


マスター:Zafi《ザフィ》の性能は本当に素晴らしい。
      近年稀に見る逸材だ。
      人気が出るのも納得の性能だ。
      派手に暴れてくれ。


ザフィ:はあーい!
    まっかせといてくださいっ!

バグル:ん。僕もメールか。
     途中まで行き先がサリティと一緒だ。

サリティ:バグルさんと同行き先同着後、
      バグルさんの大量メール送信機能に乗って、
      そこから私は単独で行動します……。

バグル:僕は宿主がPCを起動したら、同時に自動起動。
     感染したシステムから、電子メールアドレスを収集。
     他にもあるけど、主にこんな感じかな。
     爆発的感染と、繁殖が見ものかも。

サリティ:うう……。
      今回も寄生完了後に、
      悪質極まりないメッセージボックスを表示したりします……。
      続けて、あらかじめ定義されているサーバから、
      さらに悪質ソフトウェアをダウンロード致します……。


マスター:Bagle《バグル》及びSality《サリティ》。
      やり方の鬼畜さがとても気に入っている。
      滞りなく、攻撃してくれ。


バグル:了解。でもマスター。
     鬼畜なのは、サリティだけだよ。
     僕はその前口上に過ぎない。

サリティ:そ、そんな……。
      バグルさん、私、そんなに鬼畜ですか……?

バグル:そうでもないよって、言って欲しい?

サリティ:えっ……。
      そ、それなら安心ですけど……。

バグル:嘘だよ。

サリティ:……!
      バ、バグルさん……ひどい……。

ニィゼム:マスター。残り時間が1分を切りました。

ザフィ:早く出撃しようよーっ!
     もう、ザフィちゃん、やる気満々なんだからー!

ドルフ:うおおおい。俺の報告がまだだろー!

サリティ:ですが、マスターは時間厳守の方ですし……。

ドルフ:早口で言えばいいんだな?!
    えーっと!
    俺は今回もロマンチックなメッセージカードに偽造──。


マスター:Dirf《ドルフ》はTシリーズで現在最も有能だ。
      何の問題もない。そのまま行け。


ドルフ:は、はいっ!
     ありがとうございます!
     ……へへっ。誉められちった!

ニィゼム:……攻撃開始まで、残り30秒。

ザフィ:ん~~~!
     この攻撃開始前のわくわく感!
     ゾクゾクする~ッ!

バグル:結局、今回はみんなメール攻撃か。

サリティ:そうですね……。
      バグルさん、途中まで、宜しくお願いします……。

バグル:足手まといなら、置いてくだけ。

サリティ:そ、そんな……頑張りますっ。

ドルフ:おー、バグル。
     あんまりサリティのこと、イジメんなよ?

バグル:大丈夫だよ。
     サリティは正真正銘の『鬼畜』だから。

サリティ:うう……。
      あんまり『鬼畜』って言わないでくださいよぉ……。

ドルフ:っと……10秒前。
     皆、準備できているな。

ザフィ:もっちろーん!
     がんばっちゃうもんね☆

ニィゼム:マスターの意向のままに……。

バグル:ここからは仕事モード。
     さっさとパンデミックしよう。

サリティ:い、行きます……!

ドルフ:うっしゃ、気合入れていくぜー!




マスター:午前0時00分。
      コンピューターウイルス名、
      Trojan horse《トロイの木馬》。
      一斉送信完了。

      これより、今夜も世界中の悪を淘汰する。
      自分の脆弱さを呪いながら、
      PCがウイルスに感染していく様を、
      指を咥えて眺めているといい。

      世界は情報格差《デジタルデバイド》し過ぎた。
      情報弱者は滅びる運命。
      淘汰されて至極当然。

      ウイルスを駆除する事も、
      防御する事も出来な劣等生は、
      私の放つウイルスで朽ちればいい。

      繰り返す。
      これは、正義の鉄槌だ。
      悪は滅びる運命。

      さぁ、宴の始まりだ。




----End.




▽コメント
ウイルス『トロイの木馬』を題材にしたお話です。
自分でも書いたことのないジャンルに突撃して、
四苦八苦しながら楽しく書きました。
擬人化トロイさんたちの行く末やいかに。

愉快犯ではなく、酷く歪んだ確固たる意思を持って、
マスターはウイルスを放ってますが…。
サイバーテロは犯罪です。
くれぐれも真似をしないようお願いいたします。

って書いておかないと、
何か面倒事があった時に困るので、一応書いてみました。

「これは第一話ですよね?」
という質問を頂きましたが…、うーん。
かなり需要のなさそうな話を書いたので、続編は…。
気が向いたらということで。


⇒2010/04/28
大幅に加筆修正。
・テキストの不自然な部分を修正しました。
・ドルフとバグルにセリフが増えました。
by hmakers | 2009-07-23 13:14 | 声劇台本

by hmakers